那須の観光名所は、いくつもあります。年に何回か那須に訪れる方々にとって、リピートできる観光地とは。
那須エリアの芦野地区は、那須岳から麓へ向かって扇状に広がる観光地域から、更に離れた農村部に位置します。
なだらかな丘陵部に開けた田園地域なので、那須岳の辺りから来ると空が大きく広がったように感じます。
この辺りには小さな史跡旧跡などがあり、そこを見て回るような散策ができるようになっています。
近年埋もれていた史跡旧跡を整備して観光化していく動きは、全国で行われています。
そのような流れの中、観光をする側の方々も趣向も変わってきて、そうした動きに敏感になってきているように思えます。
小さな史跡旧跡ならどこにでもありふれているようですが、その一つ一つには個性があります。
興味を持って丁寧に観ていくと、新たな発見や学びを得ることができるものです。
また、その時は何も感じなかった場所でも、ある時にどこからか入った情報が引き金にになって、後から妙に感動することもあります。
那須エリアの芦野地区を代表する観光名所といえば、遊行柳。
田園に飛びぬけて張り出した鳥居を、風雪にデザインされた桜と柳が、一風変わった雰囲気を醸し出しています。
その景観美は、多くの人の目に止まると思います。
遊行柳から100mくらい離れた沿道は、旧奥州街道が走っています。
今は”旧”でありますが、本元の奥州街道です。
この辺りの旧奥州街道沿いには、一里塚が今でも随所に残されていて、その歴史を身近に感じることができるところだと思います。
一里塚は江戸時代になって幕府が設置を命じるようになり、その起源は平安末期と言われている。(Wikiより引用し加筆)
昔の道行く人々も、同じような遊行柳の光景を見ていたと思うと、その存在の価値を感じます。
毎年の十一月の中旬頃、那須エリアの紅葉はほとんど終わってしまいます。
しかし、那須・芦野地区では、十一月の中旬頃にいちょうの紅葉が始まるのです。
遊行柳の後ろにはいちょうの大木があって、光を浴びると輝いているように見えます。
遊行柳の温泉神社の脇に根を張るいちょうの大木は”上の宮のいちょう”と呼ばれ、樹齢はおよそ400年と言われています。
上の宮のいちょうの木は、枝が大きく西側に張り出しています。
それにより、いちょうの葉を透過する光が、温泉神社まで広く黄色い空間を作り出していました。
十一月に入ると、那須の紅葉もほぼ終わってしまいますが、自然の楽しみ方はいろいろあるもです。
探索の仕方を少し考えてみると、十一月でもこの時期にしか体験できない何かがあるのかもしれません。
自然が作り出す黄色い空間は、そんな発見を私に与えてくれました。
この空間に入って温泉神社のほこらを眺めていると、時間の過ゆくことを忘れるような気がしました。
江戸時代のころは、奥州街道を往来する旅人の憩いの場であったのだろうと想像が膨らんで、一時の夢見心地。
今度来るときは軽い撮影機材に持ち替えて、熱いコーヒーの入った保温ボトルと折りたたみチェアを携行するのが自分流の過ごし方なのかな。
那須・芦野地区を代表する名所・遊行柳、そこにある温泉神社のたもとに立つ”上の宮のいちょうの木”を紹介させていただきました。
取材をさせていただき、ありがとうございます。